第六の絶滅

Die Wahrheit ist irgendwo da draußen.

インターネットで真実を見るのをやめろ

 一瞬でブームが過ぎ去ったAsk.fmを何となく思い出してやっている。自分語りがしたい~ああ~自分語りがしたいよ~という欲求を、他者からの質問に答えるという形で「あくまで自分から自分語りをしているわけではないですよ~」とエクスキューズを用意しつつうまく満たすことができる、よくできたサービスだと思う。しかしまあどこにでもつまんないやつは現れる。

 


なんで働かないんですか? | ask.fm/foxnumber6

 


正直たまに良いこと言ってるなと思うときがあっても無職というだけで説得力がガタ落ちしますのでなんとかしてください | ask.fm/foxnumber6

 


働く気ないでしょ | ask.fm/foxnumber6

 


だってずっとアニメ見てて就活気配ゼロだしそりゃね | ask.fm/foxnumber6

 

 面白いと思ってやってるならとんでもなくつまんない人間ですねとしか言いようがないし、インターネットでの発言で回線の向こうにいる人間が何をやっているのか全部わかると思っているならとんでもなく傲慢な人間ですねとしか言いようがないわけだが、そういう主旨を込めて

 

「今起きた!」「今歯磨いてます!」「今朝飯食べました!」「今求人チェックしてます!」「今履歴書書きました!」「郵便局行きます!」「ポストに投函なう!」「帰ります!」「昼飯作ります!」「作りました!」「食べてます!」「食器洗いました!」「アニメ観てます!」「不採用通知来ました!」「晩飯食べます!」「風呂掃除しました!」「風呂沸きました!」「トイレ行きます!」「風呂入ってます!」「髪乾かしてます!」「パンツ穿きました!」とかいちいち全部ツイッターに書かなきゃ書いてないことはやってないと思われるとは知りませんでした。

 

と答えたところ、次がこれである。

 


ひねくれた皮肉屋を目指してるんですか? | ask.fm/foxnumber6

 

 はぁぁ~~~~~~~~~~~~~~????

 ツイッターにたかだが毎日100件程度の投稿をしているだけの無職をつかまえて「ずっとアニメ見てて就活気配ゼロだから働く気がないようにしか見えない」と匿名でさも鋭い指摘であるかのようにゴミ同然の思い込みをぶつけてくる歪んだ人格の持ち主に「ひねくれてる」とか言われる覚えはないんだが???? じゃあ朝4時過ぎにAsk.fmで無職にこんな面白くもなんともない汚物を投げつけてるお前はなんなんだよっつー話にもなりますわな。

 「書いてないことはわからない」と認識することと、「書いてないことはやってない」と思い込むことの間にはマリアナ海溝よりも深い深い溝、いちごのショートケーキと焼肉食べすぎた後のうんこくらいの違いがあるんだけど、インターネットでは後者のように考えて振る舞う全く想像力のないアホがしばしば観測できる。

 たとえば「全然採用されねーわ採用されねーよつれー」みたいなことを書くと、必ずと言っていいほど「この人手不足の時代に採用されないのは本人に問題がある」みたいな汚物を投げつけてくるアホが湧いてくるのだが、そんなもんお前に言われんでも知ってるわボケ。じゃあ「全然採用されねーわ採用されねーよつれー……でもこの人手不足の時代に採用されないのは私に何か問題がありますよね。もっと自分と向き合って問題点を洗い出し、企業に採用されるよう日々努力していきたいと思いますo(゚▽^)ノ」と書かなきゃならんのか。お前の想像力のなさを補うためにおれはインターネットをやっているわけではないんだよ。

 ツイッターで「無職と公言していて」「毎日アニメの話をしている」という、言ってしまえばたったそれだけの情報で「働く気がないニート」と断じることができる傲慢さには辟易する。あるいは面白いと思って煽っているのだとしても、一個も面白くないわ、お前で笑ったこと一回もないわっつー話になるが。

 別に誰かにわかってもらおうと思ってインターネットをやってるわけでもないし、たとえば母と祖父と祖母が同時に癌で入院して大学なんか行ってる場合じゃねーわってなって頭と胃がおかしくなって胃潰瘍で救急搬送されてバイトも辞めたこととか母が重度のうつ持ちで年に二回くらいの頻度で二~三ヶ月の間マジで何もできなくなって家事とか介護施設に入ってる祖父の世話を全部一人でやらなきゃいけなくなることとかそんな別に面白くもなんともないことをいちいち垂れ流そうとも思わんが、ツイッターでのせいぜい一日100件程度の投稿から人の内面を推し量り「働く気ないだろ」と勝手に人の気持ちをわかった気になっているやつには反吐が出る。

 

 というように久しぶりにインターネットに腹が立ったわけだけど、無職であることを軽く煽られた程度でマジギレする人はインターネット無職には向いていないのでやめた方がいいというのはあって、インターネット無職には劣悪な労働環境で働いているインターネット労働者に見下され蔑まれることで彼らの自尊心をいくらか満足させてやるという社会的な役割があることは覚えておいた方がいいだろう。

 これからもインターネット労働者になれるよう求職活動を続けつつ、インターネット無職として日々邁進していきたい所存である。なお寄付は下記より受け付けている。

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江戸の想像力―18世紀のメディアと表徴 (ちくま学芸文庫)