セイコーマートが出てくるアニメ
セイコーマートとは北海道のローカルコンビニチェーンである。道内ではセブンイレブンやローソンなどの大手コンビニチェーンを押さえてトップのシェアを誇り、過疎地域では唯一の小売店として衣食住を一手に担っている店舗すらある。北海道民にとって切っても切れないインフラと言える存在だ。自分も諸事情からここ一ヶ月ほど晩飯が週三ペースでセイコーマートのホットシェフのかつ丼になっていて、大いに助かっている。
そんなセイコーマートだが、近年成功しているローカル企業としてメディアで取り上げられたりしている影響か、または地方を舞台モデルにしたアニメが増えていることからか、アニメでもときどき見かけるようになった。というわけでセイコーマートが出てくるアニメの歴史を簡単にまとめる。
■WORKING!! #13(2010年)
伊波と小鳥遊が一緒に歩く場面で背景にセイコーマートが描かれている。おそらくこれがセイコーマートが登場した最初のアニメではなかろうか。街路樹に隠れているので正確には判別できないが、たぶん「Saicomart」と書かれている。
本作は北海道出身の高津カリノ原作で、北海道札幌市の清田区あたりが舞台とされている。ここで描かれている店舗は同定できなかったが、清田区のあたりは道幅の広い幹線道路にこういう感じで街路樹が並んでいるのでなかなか土地の雰囲気が出ていると思う。
■銀の匙 Silver Spoon #5(2013年)
タマコが買ってきた夜食が入ったビニール袋にセイコーマートのロゴが描かれている。店名は入っていない。
本作も北海道出身の荒川弘原作、帯広農業高校が舞台モデルで原作者も同校の卒業生。近隣に数店舗セイコーマートが存在する。
■天体のメソッド #1(2014年)
乃々香がノエルを捜して「Saicomart」にやって来る。セイコーマートの店内レイアウトが描かれた記念すべき作品。乃々香が買ってきた食べ物が「ちくわパン」なのもポイント(ちくわパンの発祥は北海道だといわれる)。
本作は北海道洞爺湖町や札幌市が舞台モデルになっているオリジナル作品。モデルとなったのはセイコーマート洞爺たなか店。劇中では何度かセイコーマートが登場し、過疎地ではないがセイコーマートに買い物を依存しがちな北海道の地方部の雰囲気が良く出ている。
ちなみに乃々香たちは洞爺湖町のような町からバスで一時間かけて札幌市のような街へ通学しているが、それを実現するにはたぶん下図のように洞爺湖を札幌市の近くにコピペする必要があるため、おそらくこのような地理関係になっていると思われる。
■天体のメソッド #6(2014年)
乃々香とノエルが一緒に歩いている場面で再登場。何故かTV放送時(画像上)は「Small Mart」に変わっていたが、ソフト版(画像下)では修正されている。
■天体のメソッド OVA(2015年)
Blu-ray最終巻収録の短編OVAでは汐音がお菓子を買うために「Saicomart」にやって来る。隠れている乃々香たちのカットでは新規アングルで道路脇に立っている看板も描かれている。店内レイアウトも #1 から修正が入り、POSレジ後方からのアングルも。そしてここでもやはりお菓子に紛れてちくわパンが登場。今度はディテールがより詳細になり、パッケージにパンダが描かれた「タニザキパン」の製品になっている。
山崎製パンのWEBサイトで検索したけど出て来なかった。販売終了したのかな。
■櫻子さんの足下には死体が埋まっている #1(2015年)
死体の発見された海岸傍に「Seicomart」が登場。セイコーマートが初めて実名でアニメに登場した歴史的瞬間だ。モデルになった店舗はセイコーマートいとう増毛店。
本作は北海道札幌市出身の太田紫織のミステリ小説が原作、旭川市を中心に上川・留萌・空知あたりが舞台になっている。取材や宣伝に関して地元が協力しており、セイコーマートもしっかり「地域協力」でクレジットされている。
劇中、正太郎が旭川を評して「時間が停滞している」と語るが、旭川だけでなく全編に渡って北海道地方部の寂寥感や閉塞感を帯びた情景が見事に描写されているのも見どころの一つ。
■櫻子さんの足下には死体が埋まっている #2(2015年)
正太郎が深夜にセイコーマートで買い物ついでに立ち読みをしている。モデルはセイコーマート東光14条店。カツゲン、リボンナポリン、ガラナ、ビタミンカステーラなど北海道限定商品ばかりカゴに入っているのが笑える。カルビーのポテトチップスみたいなお菓子も「ザンギ味」と書かれており北海道限定を窺わせる。検索したらカルビーではなくコイケヤから出てた。
■虹色デイズ #3(2016年)
勉強会の帰り道、杏奈と夏樹が立ち寄るコンビニとして「Saint mart」が登場。本作は北海道札幌市が舞台モデルで、札幌市中心部の見慣れた風景が数多く登場する。結構ロケハンをがっつりやったみたいで、セイコーマートのディテールもホットシェフの看板やらのぼりやらポスターやらかなり細かい。具体的な店舗のモデルがあると思うが札幌市内には無限にセイコーマートが存在するので……。
これは杏奈が夏樹に飲み物を、夏樹が杏奈に肉まんを互いに奢るという流れで二人の距離がちょっと縮まるという場面で、その背景としてセイコーマートのオレンジ色は暖色で結構雰囲気作りに役立っている感じがある。
■虹色デイズ #17(2016年)
智也がまりの見舞いに行く前に「Saint mart」に立ち寄っている。ポスターやシールのディテールが細かい。
■ばくおん!! #5(2016年)
北海道ツーリング回で「北海道にいる限りセイコーマートから逃げられん」と語られ、セイコーマートがフィーチャーされた。「おいしい」という台詞が出て来なかったのが実際に取材して食べたんだろうなと推察できて良い(セイコーマートの店内調理でない普通の冷蔵弁当やおにぎりはあんまりおいしくない)(店内調理の弁当やおにぎり=ホットシェフは値段のわりにかなりおいしくコストパフォーマンス抜群)。他にもソフトカツゲンとゆずレモンカツゲンが実名で登場。ホクレンのガソリンスタンドもちらっと映っており、「取材協力」でセコマ、ホクレン、雪印がクレジットされている(2016年4月に社名がセイコーマートからセコマに変更された)。ホクレンは一瞬映っただけ。サッポロビールには取材しなかったようで、サッポロクラシックではなく「ヤマグチクラシック」になっている。
モデルになった店舗はわからないが、この回は北海道ツーリングと言いつつ実際の風景は宗谷岬くらいしか出て来ず後はだいたい原野にまっすぐな道路が走っているだけという感じなので、特にどこの店舗を描いたわけではない気がする。セイコーマートの商品だけやたら写実的で北海道の風景は適当というバランスが『ばくおん!!』らしくて面白い。
■魔法少女育成計画 #6(2016年)
マジカロイド44のバイト先として「Saicomart」が登場。本作は新潟県上越市が舞台モデルとされているが、セイコーマートは新潟県に出店していないので何故セイコーマートが描かれたのかは謎である。描いた背景さんが北海道出身だったとかだろうか。弁当もホットシェフを意識したのか「Meccha Hot」と書かれていた。
2016/12/21 15:20 追記
コメントで指摘があり、モデルになったのはセイコーマート振内店とのこと。謎。
まとめ
特にないな……。
わかったこと
他に登場しそうでしないアニメとして『北へ。~Diamond Dust Drops~』『最終兵器彼女』『僕だけがいない街』などがある。『北へ。』なんかいかにも登場しそうなのに。
他の地方が舞台の作品で特定の店舗の存在を主張することってあまりない気がする(印象論)ので、北海道の人間の自己主張が強いのか、あるいは遺伝子レベルでセイコーマートに支配されているのか、原因が気になるところではある。
世の中のアニメをすべて観たわけではないため、もしかしたらチェック漏れなどあるかもしれない。他にセイコーマートが登場する回を知っている読者がいたら教えてもらえると助かる。
2016/12/21 16:20 追記
おまけ セイコーマートが出そうで出なかったアニメ
ブコメ等で「2010年より前にあるんじゃないの」という意見がわりとあったので一応捕捉。『ノエイン』はDVDも録画も所持していないので未チェック。「北海道が舞台モデルとされているアニメ」を条件にチェックしたため、90年代以前のアニメに登場している可能性は否定できない。が、たぶんないような気がしている。具体的な作品タイトルと話数を挙げられる方がいればお教え願いたい。
特定地域を舞台モデルにして実際の風景を使ったアニメの変遷についてはカトゆーさんのエントリが参考になる。
■最終兵器彼女(2002年)
札幌や小樽、登別が舞台。いかにも地方の小規模コンビニっぽい看板は映る。
■北へ。~Diamond Dust Drops~(2004年)
札幌、函館、北見、旭川、帯広が舞台になっているため、いかにもセイコーマートが映り込みそうだが出て来ない。ゲームだとハセガワストア(セイコーマートと提携している)が登場する。
■Kanon(京都アニメーション版)(2006年)
部分的に札幌が舞台モデルになっており、札幌駅周辺や平岸のあたりの風景が登場する。かなり街並みが描かれているが、セイコーマートは出て来ない。神戸や横浜などもミックスされているそうなので、どこか特定の地域色を出さないように考慮されている感じもある。
■生徒会の一存(2009年)
札幌が舞台と明言されており、舞台の学校は札幌創成高校がモデル、札幌駅前や札幌ドームが登場する。街並みはほぼ映らないのでセイコーマートは出て来ない。
■センコロール(2009年)
札幌が舞台モデルで、札幌駅~大通公園あたりの市街地の風景が使われている。実写取込っぽいから出てくるかなと思ったが惜しくもセブンイレブンが登場。
■君に届け(2010年)
原作者の出身地の羽幌市が舞台モデル。#21にコンビニが登場。配色はややセイコーマートを意識しているような気がするのでニアピン賞。
■這いよれ!ニャル子さん(2012年)
原作者が札幌市出身で、札幌が舞台モデルとされる。札幌駅や札幌のとらのあなやメロンブックス、アニメイトが入ったオタクビルディングが登場するが、ノーセイコーマート。
■サーバント×サービス(2013年)
『WORKING!!』の高津カリノ原作でやはり札幌が舞台モデル。役所が中心でさほど街並みが映らないのもあり、ノーセイコーマート。
■フランチェスカ(2014年)
札幌のご当地アイドルキャラを主役に札幌の制作会社が制作したアニメ。いかにもセイコーマートが映り込みそうだが出て来なかった。
■僕だけがいない街(2016年)
原作者の出身地・苫小牧が舞台モデル。苫小牧の市街地なら映り込みやすそう(広くてまっすぐな道路が多い)だなと思っていたが全く出て来なかった。
2016/12/21 18:20 追記
原作では悟が 「Teiohmart」で使い捨てカメラを買ってスタンガンを作るくだりがあったが、アニメではここはカットされ悟は直接自分の手で雛月の母親を突き落とそうとする形に変わっている。なのでセイコーマートは登場しない。
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