三毛別羆事件の羆とされている写真について その2
とりあえず「この写真は三毛別の羆ではない」ということだけ書いたが、じゃあこの写真はなんなんだというところには触れていなかったのでその続き。
まずこういった指摘があった。
キツネ氏が指摘していた例の勘違い画像、Wikipediaで言われてる「野生のヒグマで最大の記録はコディアック島で捕らえられた個体で1134㎏」なんじゃねぇかと思って情報当たってるけどまぁ当たり前のように確証なし
— 現金 (@amuhima) 2015, 1月 6
野生のヒグマで最大の記録はコディアック島で捕らえられた個体で1134㎏
出典は「Dodson S. (2009) Bear-ology:Fascinating Bear Facts, Tales & Trivia. PixyJack Press, Masonville, 191 pp」とのこと。でもこの本が出典だったとしても全長推定6m以上で1.1tの空前絶後の巨大羆が仕留められた時の写真だったら、この文だけでなく写真も一緒に引用されていてもおかしくないと思う。
引用されていないということはこの本にも掲載されていないし違う写真じゃないかな~つーかコラくせーな~というのが正直なところ。
確かにあんだけでかけりゃ1t以上はないとおかしいとは思うが、そもそもの問題として、重さはともかく羆があれほど巨大に成長し得るか?という疑問がある。
羆の体長は2~3m程度と言われている。冬眠明けとか冬眠前で体重はかなり変動するので、体長3m程度で冬眠前に体重が1t近くまで行く個体もいるだろうが、例の写真の羆は横に立っている人間が180cmくらいだとしてもゆうに6mは超えていないとおかしいサイズ感だ。
果してそんなありえないサイズの羆が存在するだろうか。
そしてこれ。
id:kyoumoe さんのブコメにあったこちらの投稿サイトの写真、日付は2005年なので確認出来た中では一番古い。
「巨大なコディアックヒグマ(アラスカヒグマ)か?」とキャプションにあるので、投稿者もこれがコディアック島で捕獲された1,134kgの羆なのかと考えていた模様。
相変わらず出典は不明だが、出回っているものよりも解像度が高くて細かいところまで見える。
で……
これさあ……
右のおじさん、ゼビオスポーツとかで売ってそうなハーフパンツとTシャツ着てるよね……靴も今風の登山靴でしょこれ……。
右手で持ってる槍(?)もヒョロッヒョロの木の棒の先端になんか布巻いてあるだけのものだし……。
右手の槍に影がないようにも見えるし、なんだか熊も作り物っぽく見えてくる……。
今風の服装のおじさんたちが、
銃ではなく武器にもならない棒を持って、
推定6m以上の超巨大羆に立ち向かい、
それが白黒写真に残ってる、
わけがないと思うんだよな~
というわけでこれ、「どこかの外人さんが2005年以前に作った合成写真」と結論付けたいところなんだけど、どうでしょうか。
新情報などありましたらよろしくお願いします。
(追記)
@foxnumber6 最大熊のソース、ログインして「1,134」で検索すると該当ページが見れますが写真は無いです。ウィキペには191ppと書いてありますが実際は31ページです。 http://t.co/quymnzzDHM
— 死にたい学生bot (@ottwo) 2015, 1月 6
との情報をいただいた。
中身検索で確認したところ、確かに31ページに
The largest brown bear ever measured was a Kodiak bear who weighed over 1,134 kg (2,500 lbs) and was almost 14 feet tall when stand-ing―that's bigger than the biggest known polar bear.
という記述があった。写真はなし。14フィートは4.3mくらいなので、仮に例の写真が合成ではなく本物だったと仮定しても、ここに書かれた1,134kgのアラスカヒグマではありえない。元は14フィートのアラスカヒグマの写真だったけどコラで巨大にしたとか考えることも出来るが、羆仕留めた写真にしては服装とか持ち物がおかしいんでやっぱりコラなんじゃないかな~
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