おすすめ漫画25選
どうやらはてなブログ界隈で「おすすめ漫画○○選」的なやつが流行っているようなので、最近労働でおかしくなった頭と身体をなんとかする為にひたすら家にある漫画を読み返すというのをやっていたこともあり、便乗してブログのネタにした。
「顔の見える選書」「完結済み・続刊中を分けた選書」ということで、このあたりのエントリを参考にした。
選書基準は「おれが買って読んだ漫画」。完結作品と続刊中の作品で分けた。物質主義者なのでKindle版の有無とかは特に問題にしないが、一応あるかどうかは調べた。
■完結済みの作品
生存 -LifE-(原作:福本伸行 作画:かわぐちかいじ)
文庫版全1巻、旧版Kindle版全3巻。
かわぐちかいじと言えば『沈黙の艦隊』『ジパング』など、イデオロギー臭の強いミリタリ系のアクション漫画が有名だが、これは福本伸行が原作を担当している(カイジで韻を踏んだのか?)。
妻に先立たれ、自らもまた重い病に冒された男が自殺しようとしたその夜、15年前に失踪した娘の遺体が発見されたとの報せが男のもとに届く。公訴時効成立目前(この頃は殺人事件の時効が15年だったんですね)、警察の捜査は見込めない中、自分に残された最後の時間を娘の無念を晴らす為に使おうと決意する……。というところから始まるサスペンス。僅かな情報から15年前の娘の足跡を辿り、そこから犯人の手がかりを見つけていくというサスペンスドラマの醍醐味的な展開に加え、時効成立間近という状況が生む犯人との心理戦はベタだけどなかなか読ませてくれる。
いかにも福本伸行という感じのネームにかわぐちかいじっぽいネームが合わさっているのも新鮮味があって面白い。かわぐちかいじもわりあい心理戦を描くのが上手い人(劇画時代の麻雀漫画『プロ』もおすすめ)なので、意外に相性の良い組み合わせだったのかもしれない。イデオロギー臭でかわぐちかいじを敬遠している人にもおすすめできる作品。
三河物語(安彦良和)
全1巻。
『マンガ日本の古典』という中央公論新社の歴史漫画シリーズの中で安彦良和が担当した1冊。日本の古典文学を漫画化するというシリーズで、他にも水木しげるや竹宮恵子、横山光輝、さいとうたかをなど大御所が参加している。*1
「もうとにかく安彦良和の漫画は全部読め」と言いたいくらいだが、とりあえず1冊挙げるとしたらこれ。安彦良和の作品の多くは日本神話や日本近代を題材にとった大河ロマン*2が中心だが、その中でこの『三河物語』は学習漫画レーベルということもあってちょっと毛色の違う作品で、桃山時代から江戸初期にかけて活躍した武将・大久保彦左衛門の書いた家訓書を題材にしている。
サムライを志す農民の子・一心太助の目から偏屈じいさん大久保彦左衛門を通して見る戦国の終焉と武家社会の歪み、サムライの悲哀をユーモラスに描いていて、『三河物語』というひねくれた老人の愚痴のようにも見える書物が江戸の町人に喝采を持って受け容れられた時代背景みたいなものが垣間見える。安彦漫画にしては終わり方も非常に爽快でなんとも心地よい読後感を与えてくれるし、1冊で終わるのも良い。
神々の山嶺(原作:夢枕獏 作画:谷口ジロー)
神々の山嶺(いただき) (1) (BUSINESS JUMP愛蔵版)
- 作者: 夢枕獏,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/12
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神々の山嶺 1 神々の山嶺(ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 夢枕獏,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/06/01
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全5巻。試し読み
夢枕獏の登山小説を『孤独のグルメ』の作画でお馴染み、超技巧派漫画家の谷口ジローが漫画化した作品。数ある『ヤマノススメ』の中でも最強の一角。来年2016年に実写映画が公開予定。
と夢枕獏があとがきで語っているが、そんなもん自分の作品が漫画化されるんだったら誰だって谷口ジロー級の漫画家にやってもらいたいに決まってんじゃねーかと思わずにはいられない。谷口ジローの画力たるや、『孤独のグルメ』のようなゆるーい作品でもメシの作画でそれが遺憾なく発揮されており、生卵と目玉焼きの描き分けなどで常に我々を魅了してくれているが、この『神々の山嶺』は彼の作品の中でも最高峰(山だけに)と言えるレベルの熱量が投入されている。
もうとにかく読んで確かめてくれという話になってしまうが、「粉雪が深々と積もった状態」と「それがガチガチに凍結して踏み抜くことができない状態」を完璧に描き分けているあたりで全くわけがわからないし、そういう細部に触れずとも異常な質量と存在感をもって迫ってくる山々の情景にただただ圧倒されてしまう。“山に登る”――それだけを追い求める羽生という男の人生。そして1924年にエベレスト山頂付近で消息を絶ったマロリーとアーヴィンと、彼らの最後の姿を目撃したオデールの言葉が羽生のヤマにオーバーラップするクライマックスは涙無しには読めない。
コミック昭和史
全8巻。
水木しげるが昭和を総括した回想録。各巻300ページで全8巻という大作だが、およそその半分は太平洋戦争開戦から終戦まで陸軍の一兵卒としてラバウルで過ごした5年余りの日々に割かれている。水木しげるが戦争体験を元に描いた作品と言えば『総員玉砕せよ!』があるが、やはり彼の幼少から平成に到るまでの足跡が描かれた『昭和史』をおすすめしたい。悲惨な体験の筈でもどこか飄々とユーモラスに描いているが、それがむしろ水木しげるの根底にある戦争への怒りや自由への渇望というものを強く意識させられる。
いちごの学校(きづきあきら+サトウナンキ)
全1巻。
『ヨイコノミライ』や『メイド諸君!』など、とにかく人間関係がグズグズに破綻していく様を多く描いているきづきあきらの中編。
教師と生徒の恋愛・結婚というありきたりな題材だが、大人が子供の可能性を奪うことの残酷さをこれでもかと突きつけてきて、それが一見明るい家族の暮らしの中で常に影を落とし続けている。
前途は遠い。そして暗い。然し――
じゃじゃ馬グルーミン★UP!(ゆうきまさみ)
じゃじゃ馬グルーミン★up! 1 (少年サンデーコミックス)
- 作者: ゆうきまさみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/03
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じゃじゃ馬グルーミン★UP!(1) (少年サンデーコミックス)
- 作者: ゆうきまさみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/10/05
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全26巻。試し読み
『究極超人あ~る』『機動警察パトレイバー』でお馴染みゆうきまさみの長編。競走馬を題材にした漫画の中で「牧場漫画」と言えるところまで徹底的に裏方を描いたのはこれが初めてではないだろうか。
進学校に通う高校生の少年がバイクで訪れた北海道で牧場の四姉妹と出会い、やがて高校を中退し牧童としての人生を歩んでいく、という筋書きだが、競走馬レースよりも牧場の仕事、馬主との関係、経営問題などの事情や、主人公とヒロインたち、親子の関係といった人間ドラマに重きが置かれている。『パトレイバー』で描かれたような高度な頭脳戦やダイナミックなアクションはなく、そういう意味では盛り上がりに欠けるという見方もあるかもしれないが、丁度良い案配のリアリティを背景に人の感情の機微や親子関係のままならなさなどが非常に丹念に描写されていて、ゆうきまさみの作品の中でも一番読み応えのあるものに仕上がっていると思う。
外天楼(石黒正数)
全1巻。試し読み
『それでも町は廻っている』の石黒正数の連作短編。ちょっと未来の日常を描いたコメディ調の短編が、終盤に向けてさほど繋がりがないと思えた一つ一つが堰を切った様に繋がっていく構成の妙。そしてこれまでの石黒正数らしからぬ後味の悪いクライマックス。ネタバレ見ずに読んでほしい一冊。
青い花(志村貴子)
全8巻。試し読み
淡い水彩が印象的。志村貴子はドロドロしたものをドロドロせずに描くのがすごく上手い作家だと思うんだけど、
人を好きになることがこんなにみにくいことだと知らなかった
という最終巻のキャッチコピーに集約されているように、人が人を好きになる時に生まれる様々の感情を、志村貴子らしい少し突き放した、あと一歩のところで感情移入をさせないような位置から描いている。「おはよう」に始まり「おはよう」に終わる構成も絶妙。
高山文彦によるTVアニメも傑作なのでそちらも是非。
てるみな(kashmir)
全2巻。試し読み
鉄道が張り巡らされた夢と現実の狭間のような世界を猫耳少女が旅する不条理旅情漫画。『百合星人ナオコサン』に代表されるカオスで不条理なギャグ漫画が多いkashmir作品の中でも少し毛色が違っていて、吾妻ひでおとかつげ義春みたいな雰囲気がある。
退廃的でどこかおぞましく不安を駆り立てられる世界観に乗り鉄の猫耳少女という記号的な存在が乗っかるシュールなエログロ感が魅力的。幕間に挿入される架空の鉄道史も読み応えがある。
群緑の時雨(柳沼行)
全4巻。試し読み
『ふたつのスピカ』の柳沼行が描いた時代劇。5年も籠城を続けているという隣国の城にまつわる謎を中心に、幼馴染の三人が成長しそれぞれの道を選んでいくというお話。父を失い没落した貧乏武家、床に伏せた母、男まさりのお姫さま――などのなくてはならない要素を押さえた上で、少年少女が大人になることを描いており、短いながらもじんわり来る中編。最後の最後で『ふたつのスピカ』に繋がってくる構成もファンには嬉しい。
GUNSLINGER GIRL(相田裕)
全15巻。試し読み
兵士になる為に義肢を与えられ洗脳された少女と、彼女たちを扱う大人の男の歪んだ愛憎劇。「少女と拳銃」という人類普遍の夢を背景に、倫理的に完全にアウトな世界観が展開されるけど、初期に見られるとてつもなく冷徹でそっけない死の描写に惹き込まれる。初期と中盤以降ではかなり雰囲気の違った作品に変化し、それについての是非はあるが、「世界は残酷でどうしようもないものだけど、どこにだって希望はある」という死生観に辿り着くところには胸を打たれた。
つらつらわらじ(オノ・ナツメ)
全5巻。試し読み
寛政の時、老中・松平定信の改革により各国の締め付けが厳しくなる中、世に名を轟かす岡山の破天荒なお殿様が参勤交代で江戸へ赴く道中を描いた時代劇。チャンバラなどは皆無で、大名行列が行く先々で起こる騒動とそれを取り巻く人間模様を描いている。とにかくこのお殿様がすごく魅力的な人物で、読んでいると彼に振り回されながらも強く惹かれていく家老の立場に自分が重なっていく。まさしく「あっぱれ!」と言う外ないクライマックスに爽快な読後感。
羊のうた(冬目景)
全7巻。試し読み
『イエスタデイをうたって』がとうとう完結を迎えたり、なんだかんだでコンスタントに作品を発表し続けている冬目景の代表作。冬目景はすごく好きな作家だけど、やはりこの『羊のうた』がマスト。
吸血の家系に生まれた姉弟と、彼らに惹かれる二人の男女を巡る物語で、とにかく後味は悪くて最高。黒髪、黒セーラー、和服、病弱という考え得る限り最強の要素を組み合わせた冬目景ヒロインの雛形・高城千砂に性癖を決定づけられた人も多いだろうが、自分は彼女に惹かれる医師・水無瀬の台詞が強く印象に残っている。
僕は……
絶対に消えない影を手に入れたんだ
ここに『羊のうた』ひいては冬目景の全てが集約されていると思う。
そういえばハリウッドで実写映画化だか3DCG映画化の話があったけどどうなったんだろう。
I【アイ】(いがらしみきお)
全3巻。試し読み
『ぼのぼの』『忍ペンまん丸』のいがらしみきおが「描けた」と語る集大成。生きるってなんだ、死ぬってなんだ、命ってなんだ、という有り体に言えば死生観をテーマにしているが、終始目を背けたくなるような、肌が粟立つような感覚に襲われ、とにかく圧倒される作品。
百万畳ラビリンス(たかみち)
全2巻。試し読み
LOの表紙でお馴染み、たかみちの長編。ゲームのデバッグのバイトに参加していた二人が気付くと映画『CUBE』みたいな迷宮に迷い込んでしまい、その謎を解いていくというお話。ゲームが題材になっているだけあって、Valveの『Portal』みたいなギミックもあって楽しい。よく考えると結構ビターなエンディング。
この世界の片隅に(こうの史代)
『夕凪の街 桜の国』で広島の原爆を巡る家族と親子の物語を描いたこうの史代が、戦時下の庶民の生活を描くことで「あの戦争はなんだったのか」を問うた日常漫画。貧しくも懸命に生きる人々の暮らしに時折戦争が影を落とし、やがては戦争に日常が呑み込まれていく様を、感情的になるでもなくユーモラスに、しかしどこか冷静な視点から描いている。
この国から正義が飛び去ってゆく
■続刊中の作品
Under the Rose(船戸明里)
Under the Rose (1) 冬の物語 バースコミックスデラックス
- 作者: 船戸明里
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2003/10/24
- メディア: コミック
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Under the Rose (1) 冬の物語 (バーズコミックス デラックス)
- 作者: 船戸明里
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2012/09/06
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1~8巻。試し読み
19世紀ヴィクトリア朝、ロウランド伯爵家を舞台にとんでもなくドロドロした人間模様が渦巻くダーク・ロマンス。時代背景は森薫の『エマ』と同じ頃だけど、登場人物がどいつもこいつも心に闇を抱えすぎていて、とにかく話がどんどんこじれていく。
一見家族を愛する夫であり父である温厚な伯爵、夫にも子にも愛情を見せない女主人、愛人、嫡子と庶子の確執、危ういところで保たれていたそれらのバランスが「善意」で崩壊していく怒濤の展開は圧巻。胃の痛くなる話が好きな人におすすめ。
エマノン・シリーズ(原作:梶尾真治 作画:鶴田謙二)
おもいでエマノン 全1巻、さすらいエマノン 1~2巻。試し読み
原作でもイラストを担当していた鶴田謙二による梶尾真治のSF小説のコミカライズ。エマノンのイメージを完璧に具象化した鶴田謙二の功績は言うまでもないが、その抜群の画力によって時代や自然の息遣いまでが存分に描かれている。
地球に生命が誕生して以来30億年を記憶し続けている少女エマノン、彼女の存在の謎に迫っていく物語。連載ペースは案の定とても遅いので先に原作を読んでもいいかもしれない。最近新装版で復刊されたし。
ナポレオン(長谷川哲也)
ナポレオン ―獅子の時代― (1) (ヤングキングコミックス)
- 作者: 長谷川哲也
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2014/08/29
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第一部全15巻、第二部1~8巻。試し読み
池田理代子『栄光のナポレオン』、倉多絵美『静粛に、天才只今勉強中!』に続くナポレオン漫画の代表作品。ネットでは「私は童貞だ」のコマでお馴染み。非常に濃いキャラデザインに容赦ない暴力描写、派手な脚色でナポレオンの足跡を読ませてくれる。第一部の半分近くを占めるフランス革命編はナポレオンそっちのけでロベスピエールの理想とその終焉が描かれ、フランス革命の理想が独裁者ナポレオンを生み出す過程をドラマティックに描ききった。読者が歴史の結末を知っているが故に得られる感動の種が節々にちりばめられていて、これこそ歴史漫画の醍醐味と言えよう。
イチゴーイチハチ!(相田裕)
イチゴーイチハチ!(1) (ビッグ コミックス〔スピリッツ〕) (ビッグコミックス)
- 作者: 相田裕
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/03/30
- メディア: コミック
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1巻~。試し読み
『GUNSLINGER GIRL』とは打って変わって高校生を主役にした青春漫画。元は同人誌で展開されていたシリーズ。故障で野球を諦めた少年が、テキトーで破天荒な生徒会長に生徒会に誘われて、その活動の中でやりがいとかを見つけていくというお話。
押しの強いテキトーな先輩、生徒会だけどバットとグローブ、かなり『究極超人あ~る』を彷彿とさせるところがあるが、派手なドラマはなく「ありそう」と思わせる淡い青春の風景*3が描かれていて、なんとなく良いなと思わされる作品。
大奥(よしながふみ)
1~12巻。試し読み
映画化やドラマ化もされたよしながふみの歴史改変漫画。男子にのみ感染する致死性の難病によって男性人口が大きく減少し、男女の立場が逆転した江戸時代、江戸城大奥を舞台にした愛憎劇。歴史上の人物や出来事が見事に男女逆転しており、新刊を読む度に感心させられる。話は幕末にさしかかったところで、一体どういった形で明治維新を迎えるのか今から楽しみでならない。
軍靴のバルツァー(中島三千恒)
1~7巻。試し読み
第一次大戦よりちょっと前くらいの技術レベルの架空のヨーロッパっぽい世界を舞台にした戦記漫画。ドイツっぽい軍事大国から同盟国の小国に軍事顧問として派遣された青年将校バルツァーが近代戦術を駆使して頑張るお話。兵器や戦術についてのうんちく、政治、外交と好きな人は好きな要素が満載で、現実の歴史をモデルにしているだけあってあまり突飛な展開はせず理論で詰めていく感じが小気味よい。
センゴク(宮下英樹)
第一部全15巻、第二部全15巻、第三部1~13巻。試し読み
武将・仙石秀久を主役に戦国時代を描く歴史漫画。仙石秀久という人物は信長・秀吉・家康、三人の天下人に仕えた武将で、信長の野望だと使いようのないステータスが設定されているマイナー武将だが、彼は大名に出世したが改易に遭い、そこから再び大名に返り咲くというなかなかドラマティックな人生を送った人物でもあり、本作では「史上最も失敗し、最も挽回した男」というキャッチコピーが付けられている。
第一部では脚色を交えながら仙石秀久がサムライとして成長していく様が描かれるが、第二部からはより大局的な視点から戦国時代を俯瞰するような形式へ変わっていく。一部の登場人物のビジュアルは欧米の映画俳優がモデルになっていて、特にヒュー・グラントがモデルの明智光秀の強烈なビジュアルと、「生真面目で、信長の苛烈さに忸怩たる思いを抱いていた」という一般的な光秀像と大きく異なるその性格は、自分がこの作品を読むきっかけにもなった。その時々に起こる合戦や政治情勢についても「だがこの通説には疑問が残る」を合言葉に新しい説を提示していて、歴史ファンにも飽きずに楽しく読めるかと思う。
シャーリー(森薫)
シャーリー 1巻<シャーリー> (ビームコミックス(ハルタ))
- 作者: 森薫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
- 発売日: 2014/02/14
- メディア: Kindle版
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1~2巻。試し読み
『エマ』『乙嫁語り』の森薫がたまに描いている、ヴィクトリア朝時代の少女メイドと女主人のお話。『孤独のグルメ』のスピンオフ作品ではない。独身の女主人と口数の少ない幼いメイドって百合なんだよな……。メイドのシャーリーの世界が広がっていく様子をなんてことない日々の些細な出来事を通じて丹念に描写していて、とにかくシャーリーが可愛い。
独身の女主人と口数の少ない幼いメイドって百合なんだよな……。
だがしかし(コトヤマ)
1~3巻。試し読み
■おわりに
なんか歴史ものが多い。ジャンプ文化にほとんど触れずに生きてきた*4こともあり、やはり青年漫画主体の選書になる。漫画に限らずアニメとかもそうだけど、キャラクターが人間としてその世界で生きている息遣いの感じられる作品が好きというのがあって、選んでみるとそういう作品が多くなったと思う。
意外とKindle版出てる漫画多いという発見もあったが、付いてるレビューで「スキャンの品質が悪すぎ」「カバー裏が収録されていない」などの批判も多々見受けられ、紙媒体と同じものをより高品質で提供するという大前提が守られない限り電子版一本に絞るのはまだリスキーかなという印象。そんなん気にしねーよデジタルデータ最高紙断固滅ぶべしって人にはどうでもいいのかもしれないけど。
そういうわけで皆さんも適度に漫画や本も読みつつアニメ全部観ていきましょう。